童貞は城ヶ島に捨ててきた
どこまで話したっけ?
そうだ。
僕らは満月の夜に砧公園でペッティングをした。
それから帰宅をしてメールで続きをする約束をした。
待ち合わせ前に僕はファミリーマートで売られている無印良品のコンドームとお茶を買った。
初めての場所はお互いの家でもなくラブホテルでもなかった。
少しでも思い出に残るような場所でと思いそれらを避けた。
その結果思い浮かんだのが何故か民宿だった。
その民宿がある場所として選んだのが城ヶ島だった。
城ヶ島。
今となってはどこにあるか思い出せない島。
とにかく僕らはコンドームとお茶を持って城ヶ島へと向かった。
17歳の僕らは城ヶ島に着くと島の地図を確認した。
事前に民宿がいくつかあるのは調べていたのでそれらがある地域へと行く道を確認。
綺麗さなんてものは期待していなかったので空いている適当な場所へと入る。
夏も性欲も真っ盛りな僕らはすぐに始めた。
コンドーム、無印良品の3つか5つくらい入ったやつ。
実は僕はコンドームを使うのは初めてではなかった。
ちょうど1年前くらいに僕は愛知県に住む同い年の女の子と文通をしていた。
どうしてそうなったかは覚えていないのだけれど、月1くらいで送られてくる便箋にコンドームが入っていたのだ。
サンリオか何かのキャラクター、おさるのもんきちデザインのコンドーム。
おさるのもんきちの絵はバナナを持っていたのだけれど、それがたまらなく卑猥に見えた。
手紙を読むと「つけてみてね」と書かれていた。
つけてみて手紙に「つけてみたよ。ちょうどいいサイズだった。」そう返事を書いて送った。
それなので僕はコンドームの扱いには少しばかり慣れていたのだ。
おさるのもんきちは全て使い切った。
装着して捨てるだけの存在を否定されたコンドームたち。
しかし無印良品のそれらは違った。
それらという複数形な理由は全て途中で破れてしまったからだ。
最初からではなく途中で。
使っている最中に違和感を感じて見てみると破れている。
新しいのを装着し直す。
そんなやりとりをしていたので感動とか、気持ち良さなんて考える余裕もないまま終わった。
シャワーを浴びて民宿を出て
帰りにビニール袋いっぱいのサザエを買った。
電車の中でビニール袋が破けて海水が漏れてしまった。
やれやれ、ここでもまた破けるのか。