おばけなんてないさ
おばけなんてないさ
僕は昔っからオカルトネタやホラー映画が好きだ。
けっこう怖がりだけど。
幽霊というものは信じていないから信じたい。
そんな僕の体験。
17歳の時に札幌で一人暮らしを始めて数ヶ月が過ぎた頃。
一時的に東京に帰ってまた札幌に戻るところだった。
どうしてそうなったのかは思い出せないけど、朝3時くらいに自転車に乗ってパンダ公園へ向かっていた。
保谷の実家からなおき氏の待つパンダ公園へ寒い中走る。
実家を出て2、3分のところにちょっと古い団地みたいなところがあるんだけど、いつもその前を通るのでその日も当たり前のように通ろうとした。
団地に近づく少し手前で団地の入り口あたりに立っている人影が見えた。
こんな夜更けだしなんだって突っ立ているのかなぁとか思った。
自転車のスピードは維持したまま走っていてどんどんと団地にもその人影にも近づく。
近づくにつれてその人影がハッキリと見えてきてゾッとした。
まだ寒い季節なのに白いワンピース一枚だった。
黒いロングヘアをしていて身体はこちらを向いている。
「あ、これなんかおかしい…というかヤバイな」と思いつつも自転車をこぐ。
ちょうど真正面に来た時見てしまった。
黒いロングヘア、白いワンピース、
首からはたくさんの真鍮でできたような円盤がついたネックレス。
そして顔は…見えなかった。
見えなかったというのもおかしいんだよね。
入り口の明かりに照らされて服装も髪型もハッキリと確認出来るのに、ちょうど顔だけがピントが合っていないように見えない。
ロングヘアだけど前髪がかかっていた訳でもない。
通過。
パンダ公園に到着してなおき氏と滑り台のあたりで遊んだ記憶がある。
しばらくして「あれやっぱおかしいよなぁ」と思い返してだんだんと怖くなった。
その後札幌に戻り僕は初めて金縛りを体験することになる。
何度も、何度も。